2023 JHS Herb Times Vol.13

これはJHSのケンタ

大寒を迎え皆様はお元気でしょうか?
暦の凄さに敬意を払っています。
大寒の前後、最低気温にマイナスがつき始めました。
これまでは最低気温は1度、2度だったのですがね?
もちろんお天気予報の数字であり、とっくに私の研究室も、圃場でもマイナス
はすでに記録しています。
昨年、マイナス8度を記録したことが蘇ります。
今、圃場は霜柱が立ち、なかなかいい感じです。
良い土を育むにはこれがなくてはなりません。
ますます霜柱が15cmほどまでに上がることを楽しみにしているところです。
冬からの贈り物♡
ありがたく土に頂戴したいと思います。

いきなりトップの画面に現れたキジのお話。
キジは1月の半ばには求愛活動を開始するそうです。
大寒一週間ほど前からキジが初泣きすると言われています。
ケンタとのお付き合いは、JHSの研究圃場を始めてから間も無くしてのこと。
私より以前から、圃場を含めてこの辺りをナワバリとしていたのか?
それとも私が変なことをやり始めたので、興味本位に覗き込みにきて住み着いたのか?定かでありません。

初めの頃、何度も圃場内のキイウイ棚の下で子供を育て、家族を増やす光景を見せてくれました。
もちろんケンタはオスですので、卵は生みませんが?
そして今でも毎年圃場で過ごしています。
別の若い雄鳥との喧嘩も見せてもらいました。
私がしゃがんで草の手入れをしていると、何やら土を突きながら後についてくるようにもなり、その距離も年々近くなってきています。
わかっていることは、herbは食べません。
それでも毎年この時期から現れ、半日以上好き勝手に圃場でウロウロしています。
柵を作っても、草を積み上げても、お構いなしです。
羽を持っているので、これほど自由な生物はいませんね。
ただ彼の行動を観察しながら、私は私で圃場の仕事をしているだけです。

もうすぐ早春のherb達と会えます♡

さてJHSの今月のテーマはGerman chamomileとRoman chamomile.
もちろん、開花までにはもう少し時間がかかりますが、研究室のPではすでに葉を見せ始めています♡
咲き初めはgerman独特の中心部が黄色いプリンのようになります。
そしまもなく、このプリンがドーム状のキャップのようになるのです。
残酷ですが、そのキャップを縦に切ると中は空洞と言った具合です。
時々、Roman chamomileと区別がつかない人がその空洞があるかないかでgermanか?romanか?を判断するというお話もあります。
そこまでしなくても、花びらのつき方や、草形全体をみたり、香りで判断できるのですがね?
そもそも、開花時期が違います。
germanは春一番に、そしてromanはそろそろLavenderが始まりますよぉ〜♡と言わんばかりに、初夏の幕開けを飾るかのようにして開花します。
この二つのChamomileのハイシーズンが一気に来られると、私も収穫が困難に。。。
だから助かっているのです。

esterをたくさん含んで可憐に開花しAppleの香りを放ちます

過去に数年間だけ、Chamomileをはじめ、Blue cornflower、California poppyなど自由に生きるwild flowerの生態が見たくて、圃場内に放ち好きに生息することを許した時期があります。
その経験から学んだことはとても大事なこと♡
それは植物は人間に支配されることなく「自立している」ということです。
当たり前のことで、今更と言ったお話なのですが。
しかしその力と勢いと姿を目の当たりにするとしないとでは大違い。
実際、その光景を間近に見た人でないと植物の「自立」は本当のところ理解できないと思います。

私たちはついつい植物を栽培しているとか、面倒見ているとか、咲かせたとか。。。人間主導で捉え、自己満足をしています。
でも思い切って、そこから放ってみると、そこにはひれ伏したくなるような光景があります。
まるで絵画のよう、アートそのもので、発色、配置、バランスにおいてそこには美学があります。
私はそれ以来、植物の自らの力を尊重し、敬意を持って herbと向き合うようになりました。
本当は全てのherbにやりたい放題を許して、圃場に居て欲しいという本音があるのですが、弱肉強食、自然淘汰、などを考えると自生するherbをそこまで放つ勇気がありません。
今私にできる最大限のことは?
せめて保護区域といった感じで、herb達をできるだけ自由に生息できる環境を整えてあげると言う小さなことだけです。
向き合い方って難しいですね。

まるで絵画のようなwild flowerたち

今年はどんな子達と真に向き合うのか?
春、彼らの姿を見て決めようと思っています。

時々思うのですが、これまで200種以上のherbを手がけ、戯れてきたのですが、もちろん中には一期一会の子も、いつしかいなくなってしまった子も。。。
これまでの15年間に色々なドラマがありました。
現在の生存状況をチェックをしたのですが、それでも裕に100種を超える誰や彼やらの生存を確認することができましました。
ふと、あの子どこ行ったっけ?と思って探してみてもいない時は、ちょっと落ち込みます。
最近で言うと、マメ科のherb、通称Sweet clover、英名Melilot がそれです。

Melilotus officinalisという学名を持つこのherb.
使い方が難しく、知識を持って扱いたいherbの一つですが、とにかく香りが良く、葉と種を使ってウォッカの香り漬けにしたら最高です。
腓返りの外用にもよさそうです。
マメ科ということもあって、栽培面積はかなり必要とします。
過去に4−5年は圃場で生息していたherbです。
今年になってこの子を思い出し、リベンジしたいなと考えています。
あの香りが忘れられない、恋しいといった感じです。
種子はその時に回収したものがシャーレ一杯とってあるのですが、発芽率や、カビなどのことを考えるとやはり鮮度の良い種子をと思い、ただ今アメリカからの到着待ちです。
1920年代このherbがきっかけとなった、ワルファリンのお話を思い出してしまい、今年は収穫したものをできるだけ鮮度の良い状態で乾燥加工し、完全にドライに仕上げることに努力しなくてはと心引き締めています。

6年前、種子を取るために最後まで頑張ってもらったMelilot

2023年から、JHSのセミナーでは毎月クローズアップするherbを決め、これまでに得た知識と経験を整理し、さらに深めるプログラムにしました。
今月は「Chamomile月間」🌿となっています。

Chamomileと一口に言っても、先ずはフレッシュの収穫から始まるのですが、その後ドライ、Tincture、Distilled water 、そしてEssential oil とそれぞれにおいての研究をしなくてはなりません。
しかしこの時点ではまだ、今年の収穫は数ヶ月後ですので、昨年の圃場からの恵みを活用して、卓上での深い検証をしたいと思っています。
研究するだけの十分なChamomileが今手元にあることを感謝しています。
JHSの圃場から得るherbたちは、本当に香りが高いherbです。
数ヶ月後は2023年もののChamomile達が開花予定です。
今年は圃場のどこに生息すると決めるのか?
彼ら自らが決めるエリアそのものにも興味が惹かれます。
私はただそれを待つだけ♡
それが決まれば、私の頭の中も一気に整理され本年度のherbシーズンが始まります。
来月は研究室のあるJHS Herb Gardenで一足早く、播種が始まり、栽培スタートとなります。

願いは、ただ一つ、今シーズンも豊かであることだけです。
そろそろ私の農閑期もおしまい。
身体を覚まして、シーズンに備えたいと思います。
皆様も冬の終盤、ご自愛されてお過ごし下さい。

Chamomileは低木種のLavenderを殺してしまう勢いを持っています
2023年1月20日Permalink