JHS The Herb Style Vol.2

皆様こんにちは
前回ご紹介したハンドクリームは作ってみましたか?
春を迎え暖かくなってきたことも手伝って私の指先の荒れはすっかり良くなりました。
しかし、春は園芸がしたくなる時期でもあり、面倒くさがらずに手のプロテクトをしっかりとして行っていきたいと思います。
そこで今回はherbの園芸についてです。

春、暖房を切る時期になるとなぜか土いじりをしたくなる人が多くいらっしゃいます。
GWは、量販店には苗を求める人たちでいっぱいになり、どれだけの土地を持っているのかな?と思わせられるほどたくさん買い込まれている人をよく目にします。
多くはおそらく家庭菜園の人たちです。
この時期にあれだけの種類のお野菜の苗が出揃うことに私はいつも驚きます。
そんなに野菜は一斉に発芽して苗になる時期が一緒なんだ?
と疑問が湧きます。
本当はそんなはずなく、きっと人間の都合に合わせて無理矢理発芽させられ、強制的にGWに合わせて立派に成長させられているのでしょうね。
可哀想に。。。
少なくともそのデビューまでには1ヶ月かかるはずです。
だとすれば、3月には播種を始めなくてはいけません。
ピーマンや唐辛子などは2月蒔きが多いようですが?
2月や3月の寒さを想像すると人工的に環境を整えて発芽させるのでしょう?
本当にお野菜は大変ですね。

私は過去にお野菜の自給自足に挑戦したことがあります。
herbの栽培の中でお野菜に手を出したわけですからかなり忙しくなってしまったことだけが記憶に残っています。
それでもherbの流儀で栽培したので、まぁ流れはゆっくりでしたけれど。

お野菜とherbの栽培は全くと言っていいほど違いがあります。
お米づくりと、お野菜の栽培が違うのと同じぐらい違いがあります。
つまり土づくりから全く違うのです。
herb栽培とお野菜の栽培とは分けて考えなくてはいけません。
herb栽培はherbの流儀があり、独立した栽培方を持って育てなくては良きherbが育たないことをまずは頭に置いておきましょう。

収穫されたherbの花と苗

文章で表現するとわずか前文のように簡単なことなのですが?
実は私も始めた頃、右も左もわからず結局は周りのお百姓さんを見様見真似で鍬をもち、herb栽培に初挑戦した頃を思い出します。
これではないと疑問を持ち続けたまま、herbにはherbの確率された栽培方があり、お百姓さんの見様見真似では本当のherbは育たないと気づくまでに何年かかったのかわかりません。
少なくとも5年以上の月日が流れ、徐々に見えてくるものがありました。

基本、herbは?
芳香成分を求めて栽培すること
色を求めて栽培すること
そして私が求めるherb達の出身地は全てが国外、ほぼヨーロッパ出身
この3点を常に考えて栽培しなくてはいけないことに気づきました。
そこから、私なりのherb栽培の流儀とherb栽培方が確率し、今のJHSのherbが存在しています。

ここまで、お野菜の栽培とherb栽培は基本が違う話をしてきたのですが、さらにここで分けて考えておきたいことは、園芸と農の違いです。

園芸は見て楽しむもの、作る過程を楽しむもの、もちろん収穫も楽しむのですが、それはあくまでも個人レベルのものです。
お野菜で言う家庭菜園とお庭で育てるherb園芸に共通する点です。

農の場合は生産量や安定した供給、価格等大変厳しい条件をクリアーしなくてはならない大きな目的が要求されてきます。

目的が違えば、やり方全てが大きく変わっていくことも理解しておかなくてはならないですね。
これから自分が何をするのかをよく理解して始めることが肝要です。

ここからは本題のherb園芸についてです。
あくまでも園芸であって、農地を舞台にherbを育てる農業、農的栽培とは違いますので、まずはそこを理解してherb園芸を始めましょう。

ヨーロッパ各地から取り寄せたり、JHSで継承している 花とherbの種子

JHSでは研究圃場とGardenの2つに分けてherb栽培を行っています。
それはこれまでに述べた理由からです。
圃場は農的栽培を、そしてGardenではherb園芸を行っています。
このGardenの栽培方は圃場での栽培経験を生かしたものなのですが、共通項は扱うのがherbという点だけで他は全く違います。

圃場では実際に蒸留実験やティンクチャー、ハーブティーなど加工に活用するためのherbを栽培しており、ほとんどGardenからのherbはそれに使用することはありません。
また作業的にも多くの違いがあり、例えば圃場のherbは自生を目指しているため、特に播種や苗栽培は必要がありません。

Gardenでは鑑賞、ディスプレーが大きな目的となり、播種や苗づくり、鉢への移植、水管理など、圃場のherbに比べて大変過保護で人工的な栽培管理が主になります。
時にはherbではないフラワーもディスプレイのために同時に育てることもあります。
でもその花でさえ、やはりヨーロッパから取り寄せた種子を使って実らせ、ヨーロッパ出身のherb達に自然にお供できるようにと思いを走らせています。

英国を中心にコレクションした花の種子

種まきは楽しいものです。
出来るか出来ないか?なんの保証もない中で、根拠のない自信のもと開花した時のビジュアルを頭に描き妄想が始まるのです。
大抵はこんなものかと着地するのですがね。
でもそれは心をときめかせ、ロマンがあります。

自作のペーパーポットに播種して♡

園芸は楽しいですね!
使うお道具や、入れ物にも趣味的に走れます。
私は全て手作りが好き。
板をペイントして木の箱を作ったり、ビニールの黒ポットを使わず、適当な
包装紙またはnewspaperを使ってペーパーポットを作ったり。
ネームプレートも庭にあるbayの葉に書いてさしたり。
結構これでも育ってくれるのものです♡

育てた花苗

新しい品種に挑戦したり、絶えたり、絶えそうになっている品種がある場合は圃場にもGardenにも定植するためどうしても多量の苗づくりが必要となってしまいます。
圃場では生き残るための厳しさがあるため、量である程度勝負しないと咲き誇るところまではいきません。
作る量が多い時は止むを得ず機能的な農業用のポットや入れ物を使います。
でも園芸だけに特化して行う場合は量的に少ないので、何事にも趣味的に楽しみたいものです。

herbの花って切り花に比べてインパクトは劣りますが、一つ一つに目を向けるとherbの花もかなりの魅力に誘われます。
私個人的にはherbの花の方が、心を動かされます。
自然の中の自然、を物語るように。
私はいっとき、切り花の世界にいたことがあります。
一輪の胴体をバラバラにして花だけを中心に、長さも、葉もそぎ落とし、
原産国も季節も全く無視の、万博的でオールシーズン的なアレンジ。
とても不自然で、どうしても違和感が拭いされず、最後は魅力を感じなくなってその世界から抜けだしました。

herbは切り花には向いていませんが、水揚げをうまくやれば、そして水の供給に気をつければ、切り花と変わりなく、長く楽しめます。
時には発根していつまでも部屋の隅で楽しませてくれるも場合もあります。
そして切り花に劣らない華やかさが、Herbの花にもあることに気付かされることでしょう。

6月Lavenderの時期です

上のherbの花はハンドタイドでまとめたブーケです。
「これからよ!」と力強く居座るEcinaceaの周りで、
生き残っていたChamomileがシーズン中のLavenderに「ギリギリセーフ!!」と寄り添っているところが愛らしいです。

anniversary 愛したものへの気持ちを込めてお庭から

思い出し、愛したものへ手を合わせる時も私はお庭のハーブを用いています。
逆にこのherbが開花するとき愛したものを思い出します。
herbによって心が落ち着く。。。
鑑賞だけでなく心のセラピーにもherbの花は生きてきます。
もちろん芳香性もあるので、よりリアルに問いかけてきてくれるのでしょうね。

ここにこれまでの私の経験からGerden栽培のヒントを二、三上げておきます。
土があるのならば、その土を基本に
・肥沃な土よりもミネラル豊富な土づくり
・水捌けが良く、風通しがよくなる環境整備

土がなく鉢仕立ての場合
・多少の堆肥を加えた水捌けと保湿性に優れた土づくり
・鉢に入れる土は、よほどでない限り腐葉土は使わず、少量の堆肥と赤玉や
 鹿沼土で仕立てる

定植でも、鉢の設置においてもディスタンスをとってデザインすること

Hawaiiの花ではありません、圃場に咲き乱れた中の2輪です

さて、今年の皆様のお庭はどんなストリーを見せてくれるのでしょう?

2022年4月12日Permalink