2022 JHS Herb Times Vol.9

JHSより先にこの地に自生していたMulberry

秋の気配を受けながら圃場では今年後半のハーブシーズンを迎えようとしています。
風や太陽の動きそして昆虫達の動きからも秋を感じる頃となりました。
暦の上では26日が彼岸明け。
毎年気候変動があると世間では騒がれていますが、昔から言われている暦上で廻めく季節は、淡々と毎年同じように繰り返していることを強く感じています。

数日前、桑の木のお手入れをしました。
JHSの圃場には10mに近付くような大きな木と3mほどの小さな木が生息しています。

桑の木はMorus albaという学名を持つ 英名Mulberryのことです。
JHSの2本の木は同じ品種の様ですが、何せ桑の木は1000種類を超える品種があるそうで、私には詳しく同定をすることは不可能です。
ただ、ここの地の歴史や生活習慣からおそらく日本原産のヤマグワ(Morus australis)ではないかと見ています。
根拠はその木は2本ともヤマグワの特徴を兼ねており、耐寒性に富、芽吹きも早く、春から晩夏までの葉の収量が多いことからです。
そして木そのものの大きさ(高さ)も10m近くに及びヤマグワの特徴を満たしています。

そのMalberryの果実は、砂糖を加えジャムに仕立てるまでもなく、そのまま食しても甘く美味しい沢山の果実をつけます。
また、メディシナル的に見れば、漢方ではその根皮を「桑白皮」として日本薬局法に収載されており、血圧を下げたり去痰を目的に処方されている様です。
葉に関しては、血糖値を下げたり、整腸作用をもたらすことから、肥満や糖尿病に適した メディシナルハーブとしてその恵みを得ることができます。

herbの世界では植物のどの部位を活用するかで、私たちが得る恵みが大きく変わってきます。
時には使用部位を間違えると毒にさえなることがあるので気をつけたいですね。

一方でその危険な部位があるが為に、その植物の全てを否定的に受け止め、排除される悲しい現実も実際にあります。

例えば、根にはアルカロイド(発癌性物質の一つ)が含まれることから、全てが否定され根絶させるような事実です。
その植物の地上部には有効な成分が含まれており、その部位には否定されるアルカロイドは含まれていないと言ったことなどです。

herbを学ぶ上では確かなことを学び、使用部位を意識して安全で有効な植物の恵みを広く活用していきたいものです。
あまりフォーカスされた情報に一喜一憂せず、根から果実までホリスティックに個々のherbと向き合いたいものですね。

小屋に沿って生息してしまった為、思う様に枝葉を伸ばすことができない小さなMulberry。

話は難しくなりましたが、その2本の木の小さい方のお手入れは、枝葉が交雑し、鹿に食べられて枯木となっている枝もあり、それらをすっかり綺麗に剪定しました。
Morusと言う学名はケルト語の「黒」に由来しており、来年沢山の黒々とした果実が実ることを楽しみに♡

さて9月は収穫を目前に、さし木の作業に集中しています。
RosemaryやLavenderなど200本単位で行っています。
この後、Lemongrass, Hibiscus, Lemon Verbena , Geraniumなどの株分けと鉢上げが続きます。

毎日圃場に行ってもやることだらけで。。。。。

このプラグ一枚でで128の苗が生まれます。
Rosemaryから始めてLavender、そしてLemon Verbena。。。と続き2000株を目指します♡

しかし今年はこれまでの15年とは違い、気持ちの良い圃場での作業が行えています。
それは、圃場の環境整備のコントロールがうまく行っている事です。
作付面積は2反(600坪 約2000㎡)ほどですが、実際に管理している面積は周囲を含めて、3反(900坪 約3000㎡)を超えています。
農民でもない私がこの面積を維持する事は、私にとってかなり力の限界といった感じです。

ひねりごてや鍬から始まり、小さな耕運機、刈り払い機、と少しずつ農作業における機械を使って行ってきたのですが、どうにも作付け以外の環境整備が課題となり、毎年思う様には総面積を管理できなかった事実があります。
結果的には、周囲の管理に追われハーバリストとしてのハーブと向き合う時間がほとんどない状態までに追い込まれ、本末転倒といった状況になったのです。

本当にこの課題については長年私のストレスとなり頭を悩ませました。
人一人の限界があります。。。。。

2022年初夏の風景 Herb達それぞれがストレスのない環境に生息できますように♡

herb圃場というのはただ単にherbを育てるだけのものではありません。
癒されるロケーションの中? 癒される環境の中にherbが生息してこそ、本来のヒーリングを私たちに与えてくれるのです。
私にとっての圃場の位置付けはそこにあります。

もちろんそこでの主役が個々のherb達なのです。
私のいう環境とは、その主役達が演じるステージそのものです。
これまで本末転倒の管理を行ってきましたが、環境整備がどうしても重要な意味を持つと言う私の考えにはこれからも変わりはありません。

しかし一方で放ったらかしにされているherbたちは、手入れしてくれないのならば、本来の自分たちが持つ個々の力で生き延びようと自生に向けて走り出しました。

驚くほどの香りを有するJHSのSage

それには私自身、本当に励まされ、そのherb達の行動には感動させられっ放で。。。。。
そしてherbとはなんぞや?と言うことを嫌っと言うほど思い知らされたのです。
私の悩みは冷静さを取り戻すことによって、私なりのherb栽培の農法を見出せたような気がしています。

そんな訳で、herb農法もこの神奈川に適した私なりの農法で、先に期待の持てる圃場生活が確立しつつあります。

鹿との共生にもあるヒントを得て3ヵ年計画をスタートさせました。
自然の中で、無機質な物質を限界まで削減して立証してみたいと思っています。

私の農法は本当にスローライフです。
何か一つを成り立たせるために、必ず数年を要してしまいます。
それは気の長い話でも、やり遂げなくては永久の安心と言うか?
納得できる環境は得られないのです。

私が長年追い求めてJHSに 根付いてくれたVetiver。今では不動の存在です。

3年後には皆様に「これどう♡?」と言える新しい圃場のモデルをお見せできることを夢見て、この9月は思考や行動に全力を入れて過ごしました。

もうすぐ10月。
また新たな月を全力で走りたいと思います。
herb達は少しは喜んでくれるのでしょうか?
そして鹿達が納得してくれます様に♡






2022年9月29日Permalink