安全性の高いTherapyは土から生まれる

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Milk Thistle

Therapyを目的とした植物原料
Therapyを行う際に使用する植物原料、主にHerbの安全性を確保するにはそのHerbの生育環境と生育過程にあります。

JHS薬用植物栽培研究圃場ではTherapyを目的にHerb栽培を始めた当初、全てはHerbのDNAに大きく左右されると仮定し、種子の厳選に重きを置き検証を始めました。

検証は下記の通りに行いました。
JHSの仕立てた苗と一般園芸店より入手した苗の生育状況の比較と、栽培土壌の比較を同時に行いました。

JHSの苗の仕立ては、世界中から自生種より得られる種子、オーガニック栽培より得られた種子を入手し、出所のはっきりしない種子は全て削除し、播種して苗を仕立てました。

一方で、同じ品種の苗を量販店や園芸店から入手しました。

自然環境は両者とも温度、水分、日照時間等、神奈川県相模原市の自然に任せました。
土壌は赤土の土壌、鶏糞の入った農地、休耕地だった黒土の農地、化学肥料の効いた黒土の農地の4カ所(総面積7反)で土壌改良も行わずにそれぞれ使用しました。

こうして定植された苗はいずれもそれぞれの圃場で成長したい放題に成長し、何処にでも好きな所に種子を散らし、好きなところで自生を始めました。

この時点で得た結果は、どの圃場においても定植後成長し始めるとJHSで仕立てた苗は野生的に生育することが明らかになりました。

この検証では2年間圃場任せに肥料を与える事もしなかったため、ハーブは日光、水分、酸素だけで生きるのだろうかと言うHerbの栄養について課題が残りそれを第2の検証としました。

現在この検証を行っている土壌は、前検証を行った休耕地だった黒土の農地,梅林として使われていた農地、山の斜面の3カ所で行っています。
いずれの土壌も堆肥会社の協力を得て堆肥の原料の安全性(放射線濃度等)、適正な発酵状態を確保した植物性堆肥をそれぞれ1500平方メートル当たり3t / yearを最低量として入れ、土壌管理を行っています。
それぞれの土壌に入れる有機質の組み合わせは異なりますが、共通点は全ての有機物が植物由来であることです。
個々の植物性有機質の一例は、カカオ殻、コヒー粕、緑茶葉、紅茶葉、烏龍茶葉、米胚芽、米糠、クローブ、剪定枝等多種にわたっています。
また、植物が土の中の栄養を吸収しやすくする為に、上記の有機質にミネラル(二化鉄等)を加えています。

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植物性堆肥    カカオの殻

現在どの圃場においても、収穫したハーブは味が濃く、香りが豊かで、あくの強い共通の結果を得ています。
土壌内の栄養的は一般に言われる窒素・リン酸・カリが、いずれも5以下で、低い物では2前後のバランスです。
また収穫後の冬期に入る直前の土壌試験では窒素・リン酸・カリがいずれも0に近くになりその周期を繰り返しています。

この検証より言えることは、土壌に与えた栄養分は残すことなく植物が吸い上げ、土壌内の微生物による有機質の分解が十分に行われていると言う事です。

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精油抽出のために栽培されたClary Sage

ハーブの香りについては、採集したハーブを蒸留実験した結果、精油の収率が一般的収率の倍近くに至り、香りが豊かであることを十分証明してくれています。

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Vetiver    Patchouli     Lavandin

まだまだ土の栄養とハーブの関係についての検証課題は多くありますが、Therapyの為の安全で豊かな原料を得るために、多くの品種を育て、日本で可能なハーブ栽培を行っていきたいと思います。
この検証が、アロマセラピーを始めとする自然療法のセラピストにとって薬用植物をもっと身近に感じて頂ける切っ掛けになれば幸いです。

2011年11月19日Permalink