2024 JHS The Herb Style Vol.6

本年も宜しくお願い申し上げます

皆様はどんな1年の始まりを迎えられたのでしょう?

毎年1年を通して私は研究室圃場で過ごす時が多いのですが、今は冬の真っ只中、研究室での時間を多く過ごしています。

圃場へは足を運ぶのですが静まりかえっており、まるで誰もいない公園の様。
herb達は眠っているようです。
一人ブランコに乗っても面白くないという気持ちにさせられ、春まで我慢するしかありません。

一方で研究室ではやりたい事が山積みになっており、herb小屋でのやりたい事もこれまた山積みといった具合で、この短い冬の時期を活用して春忙しくなるまでに軌道に乗せていく予定です。

昨年の秋の終わりに1輪の花を持ったRose Geranium

花を横から見ると可愛らしいリップを持つGeranium。
本名はPelarugonium graveolens
花びらの形がコウノトリのくちばしに似ていることから、ギリシャ語のPerargosに由来したお名前。
本当のコウノトリは間近にすると怖いぐらいの大きさ。
以前、カリフォルニアの港で遭遇したコウノトリと重ねて思うと、この可愛さとは一致しないのですが、そんな名前を持つGeraniumはとても魅力あるherbの一つです。

JHSの圃場では昨年、3種類のGeraniumが生息していました。
Rose、Attar rose、 Bourbonの3種類。
Bourbonの繁殖は旺盛ではなく少々気難しい気がします。
Attar roseは園芸品種ですので、繁殖は旺盛です。
それぞれ香りは個性があり違いを感じることができます。
どれも Roseの香りがするのですが、今年はRose geraniumに力を入れてみようと計画中です。

Geraniumのお里はアフリカ南部。
暖かい国が原産ですので寒さは好みません。
研究圃場のある地域としてはそのままでは冬越えが難しく、毎年秋に挿木の枝をとって冬越えさせ、新しい株を更新して生息させるのがJHS Style🌿

パノラマで日光が注ぎこむ研究圃場では、余る程十分な収穫をさせてもらっています。

昨年も時期的には少々遅かったのですが、無事蒸留を行い純度の高い蒸留水を得る事ができました。
商業的には地上部全草からの蒸留を行うようですが、JHSが行う蒸留では蒸留物は枝や茎を除いた満開の花房と枝葉及び葉だけに厳選しています。
蒸留釜10Lで蒸留した場合、開始からわずか蒸留水2Lで火を止めるのがJHS Style🌿

もちろん、6Lぐらいまでは香りのある蒸留水が得られるのですが、やはり最初の2Lぐらいまでが最も良い香り成分を含んでおり、そこから先は徐々に植物本体のえぐみのような芳香成分も入ってきます。
香りを重視するのであれば贅沢な気もしますが、2Lまでがベストと判断しています。
メディシナルから見ればその限りではありません。
何を使用目的として蒸留するのかで、蒸留物の量、水の量、火力、蒸留時間などをコントロールしています。

その2Lの蒸留水はスキンケアに主に使用します。
乾燥、脂性肌共に使える2面性を持つGeranium。
脂質のバランスをとる事ができる蒸留水の一つに挙げられます。
もちろん、あまりにも強い脂性肌に対してはrosemaryなどの収斂作用を持つ蒸留水とブレンドする使い方もあります。

蒸留水は取ってからしばらくは置いておくことがお勧めです。
落としたての蒸留水は成分が何だか喧嘩し合ってるような感じの香りを放っています。
しばらく放置して香りが安定するのを待ってから使うのがJHS Style🌿

芳香植物はその年その年の自然環境(風、雨、日照時間、気温、土のコンディション)などが影響して香に変化が出ます。
今年はどんな香りを蓄えて研究圃場に放ってくれるのでしょうか?

JHS memberではお馴染みの入浴剤

昨年の暮れにChristmas present 作りで主役となったherbの入浴剤。
これもherb tea 並みにblendが面白く、Herbal lifeのグレードを上げてくれます。
目的に応じて、芳香浴を楽しむためだけのシンプルなものから、保湿などスキンケアを求めるコスメ系のもの、一方で皮膚疾患を和らげたり、筋肉をほぐすしたり、あるいは血液循環をよくするなど、薬効を求めるmedicinal系のものまで、入浴剤という形は、生活の中での必要性に応じてアレンジできるherb toolsの一つです。

JHSでは研究圃場から、多くの品種そして多量のherbが収穫されるため、オーガニックで贅沢な量を使った入浴剤を作る事が可能です。

一般には豊作で採れすぎた場合や、剪定時や加工時に出た枝葉の活用として、もったいないから入浴剤にでも?と言う流れになりがちなのが、入浴剤という形ではないでしょうか?

確かに収穫されたherbを全て使い切り、活用するという方向から見ればそれもありです。
しかし、前にも述べた通り目的を持ってherbを浴剤に加工する場合は違ってきます。
飲むためのherb teaを作る時と同じ、そして大事な顔に塗るためのクリームやローションを作る時と同じく、やはり浴剤として作るからには大事な全身の皮膚に吸収させるものとして、目的を明らかにそしてできる限りの品質とクオリティーを保って扱うのが浴剤と私は受け止めています。
「冷蔵庫の中の整理感覚」で浴剤作りはしたくないものですね。
今年はちょっと入浴剤にはまってしまいそうな感じです。

Patchouli

ここからはPatchouliとクリームのお話。
今圃場から暖かいところに避難してきているherbの一つがPatchouli。
葉にお香のような、墨汁のような香りを持つこの子は、未だに私は生体が掴めず、苦労して向き合っているherbです。

湿気の多い暖かなところに生息するPatchouli.
一年を通してみると、少なくともこの神奈川の地においては梅雨のシーズンしか合致しません。
そして強い直射日光をあまり好まず、明るいけれど少々日影が好きなようです。
多年草とはいえ、タネが小さすぎてタネから育てたこともあるのですが、今はもっぱら挿木で増やす事にしています。
シソ科なので土に帰すのも遅く、十分に暖かくなってから戻してやらないと死んでしまいます。

そんな生態を持つPatchouli.
この精油を見ると、この時期手荒れがひどいことから、私の中ではどうしても必要な精油の一つになっています。

Patchouli の精油は細胞にはたらきかけ、その成長を促し、組織再生として助けになる精油と私は位置付けています。
このオリエンタルな香りを持つ精油はベースノートに分類され、重たくも心を落ち着けてくれます。

私が今目指しているのは、JHSの圃場にこのpatchouli をたくさん生息させ、蒸留加工して納得できる蒸留水を得る事です。

今月Patchouliのたっぷりと入った、かなり強めのハンドクリームを作りました。
もちろん、相乗効果などを考え他の精油もブレンドしましたが、ポイントとなったのはクリームのベース作りです。
もう20年近くスキンケアに関して、私は自分で作ったものを使い続けています。

ベースとなるクリームは、市販の無香料、無添加のものでも代用できますが、私はオイルやバターにもこだわりがあり、常に0から作っています。
そして蒸留水も手元にたくさんの品種があるので、精油をブレンドするときと同じように、蒸留水のブレンドも楽しみの一つとなています。

クリームを作るとき。。。。。
精油のブレンド、蒸留水のブレンド、オイルのブレンド、バターのブレンド。
それらを組み合わせることで、思わぬ失敗と、思わぬ最良のクリームが得られます。

基本クリームは油と水を乳化させて作ります。
その乳化が成功すると真っ白なクリームが得られます。
何年作り続けても、ポイントは同じ。
水と油両者の温度、混ぜる速度、温度を下げていく過程。
この三つが鍵になります。

私がクリームを作り始めた頃からすると、今はレシピも乳化剤も多く出回り、それらを参照したり入手することも容易になりました。
クリーム作りは簡単です。
それでも、失敗した時は原点に戻って3つの鍵を検討してみてください。

手作りのクリームの価値は、自分に合った状態で全てをコントロールできる点です。
安全性、質、量、テクスチャー、体質、症状、香りの嗜好、コスパなど全てをコントロールできます。

私は季節ごと、そして薬用別に作っています。
植物の恵みをフル活用できるクリーム作り、皆様もぜひハーバルライフの一つに加えて楽しんでください。

さて研究室では?
シーズン中はなかなかできないこと?お勉強に力を入れてスタートしています。
学ばなくてはならない事、身に付けておかなくてはならない事。。。など山のように積み上げられています。

例えば、精油、蒸留水、オイル、各植物の生態及び性質、人体についてなどです。
これら全て植物を生活の中に取り入れ、生かすために必要なのものばかりです。
冬の間は、圃場に出向き直接herb達と向き合えないのですが、5月からの今シーズンを生かすためにも研究室での学びを充実させる事にしています。

鶏と卵の話ではありませんが、知識があるからherbを生かせるのか?
herbがあるから知識を生かせるのか?
といったところでしょうか?
少なくともherbを雑草として扱う方向へ向かないように努力するだけです。

唐辛子は2月が播種時期。毎年実感が湧きません。。。

来月はPepper類の播種が始まります。
今は温床をどうやって設置するか思案中です。
頭の中にはぼんやりとこれまで行った事なのない方法が浮かんでいます。
種は全て用意できています。
 
また来月をお楽しみに♡

2024年1月19日Permalink