2023 JHS Herb Times Vol.23

お嫁にいった子を除いて圃場で冬越えする12株のLemongrass

8ヶ月のherb seasonが終わりました。
11月から最低気温が下がっていき、今はしっかり冬の季節を迎えた様です。
圃場を管理するにはピンポイントで重箱の隅をつつくのではなく、全体をホリスティックに観察し受け止めていくことが大切です。
それができなければ管理はできません。

自然破壊や温暖化、環境破壊が進んでいるのは確かですが、その危機感で何でもかんでもその所為にして自然や環境を捉えるのは焦りすぎだとも思えます。
逆に残されている、維持し続けていることに目を向けることも大切です。

住む環境、取り巻く環境によって異なりますが、まだ自分の周りの環境に残されている正常な状態と向き合うことも必要です。

JHSを取り巻く環境では、このシーズンを通してみれば幸いそれほどの悪い状況は起きていないと感じています。
私が能天気なだけとは思えません。

動物たちを通して見れば、シーズン中ほとんど例年並みに彼らは多くのドラマを繰り広げてくれました。
一つだけ変わったことは、この17年一度も見たことのないアオダイショウが訪れました。
でも一瞬のことで、Thymeのところで私と鉢合わせし、びっくりしたのでしょう?慌ててThymeの茂みに潜り込んで行きました。
もちろんそっとしておいたので、それきりです。
数日後にThymeのお手入れをした際にはもうその姿はありませんでした。

鹿、うさぎ、キジ、カラス、雲雀、猪、セキレイ、昆虫ではてんとう虫、蜂、バッタ、コオロギ。。。といつものメンバーが今シーズンも圃場で過ごしました。
てんとう虫はいつもより多く見かけ、そしてミツバチは🐝Lavenderの収穫物を追いかけて車の中にまでついてくる始末。
ミツバチの「lavenderから絶対に離れたくない」と言った気合さえ感じました🤣


ただ残念なことは17年間私と圃場で意識しあって過ごしていたキジ(けんた)がどうやら死んでしまったことです。
何か罠にでも囚われてしまったのでしょうか?
ある日、沢の方で悲鳴のような鳴き声がしばらく続いたため、もし助けになれるのならばと作業の手を止め、泣き声のする沢の方まで行ったのですが、その声は数分続いたものの私が沢に辿り着く前には消えてしまいました。
それ以来、けんたの姿は見ることができなくなりました。
強く堂々としていたけんた。。。
しかし次の若いきじがまた圃場に訪れています。

そんな感じで動物を通して見ても今年も特別な変化はなく、例年通りのシーズンでした。

肝心の植物ですが、梅も沢山採れ、柿もすずなり、栗も少々、と言った具合で、もちろん生り年の差はありましたが、木たちもなんら問題もなく順調でした。

そしてherbたちはいつも通り、世間では「今年は猛暑」と騒がしかったのですが、むしろ気持ち良さそうにシーズンを過ごしてくれました。
あえてピンポイントで見ればインド、アフリカを原産とするherbたちは少しだけ旺盛だったようにも見えますが、驚くほどの変化ではありませんでした。

私自身はシーズン中12回のハンマーをかけて時間がその分浮き、例年になくherbたちと向き合う時間が作れて、理想に近い作業を終えることができました。
23年間herb栽培に身を置き、やっと自分の中でのセオリーが見えてきています。
今シーズンはセオリー完成のためのモチーフをほぼ揃えられた気がしています。
あとはそのモチーフを組み立てていくだけです。

Lemongrass liqueurの原酒

さて、トップの画像に上げたLemongrass。
本年は例年になく多くの株、14株の管理をしました。
昨年より話が持ち上がっていた薬用酒作りの為、今年は最初から計画的に作付けしました。
地元の酒造元、伊勢谷酒造さんとのコラボで「Lmongrassが主体となるliqueur作り」を実行に移すことができました。
全作付け量の3−4割に当たるLemongrassをフレッシュとドライに分け、原料として納品しました。
そうしてliqueurの原酒を中間報告として頂きました。

今年は近年に比べて、味と香りが抜群の仕上がりで、herb teeをはじめとする、JHSでの活用、加工も今から楽しみにしている次第です。

qualityの鍵は豊かさにあります。

Lemongrassに限らずherb活用の全てにおいて、原料のクオリティーが優先されます。
このレベルが上がると、創作意欲も掻き立てられます。
原料のレベルが低い時は、何をどうしても先が望めません。

私は自分自身にストイックなほどの判断を貸し、その納得がいかない限りは加工もしない、土地に返すという方向でJHSのこれまでを進めてきました。
もちろん、収穫する際の部位決定もそのレベル。
惜しむほどの選別で収穫をしています。

今年強く感じたことは、クオリティーを上げるには「ある程度の量産を行わないとそれが実行できない」ということです。
豊富にある、豊かな中での収穫、これが重要なのです。
ロボットではなく人間が収穫するのですから、そこには感情が存在します。

一般的には。。。。「少しぐらい先端が欠けていてもいい」「あまり選んでいては収量が少なくなってしまう」「形、色が悪くてもせっかく頑張ってここまで育ってくれたのだから収穫しよう」などとキリ無く愛情あふれる収穫になりがちなのです。
気持ちは私もよくわかります。
でもクオリティーを求めるときは、その状態だけを直視して、基準を満たすものだけを0か1のどちらかに振り分けて収穫していきます。
収量などに気を取られていては01の判断が鈍るのです。
ですから、豊富にあることが大切なのです。

今シーズンも自生するherbたちから本当に豊かな収穫を経験させてもらいました。
そして私はクオリティーを満たせなかった子達を頂き、「賄いハーバルライフ」を楽しんだ次第です。

12月のエンドあたりで恒例のクリスマスギフト作りを予定しているのですが、収穫の豊かさからヒントを得たアイディアを生かし、herbal lifeのアイテムを構想しています。
今シーズンのherbたちを思い浮かべながら勤しみたいと思います。

誰もが絶賛してくれるJHSのSage 
fresh herbのような色に仕上がったDry sage

Sageのお話です。
Sageは個性の強いherbの一つです。
一瞬、薬のような香りも放っているのですが、極上の奥行きを持つSageにおいては「甘く、そしてスパイシーさとrelaxationをもたらす」奥深い香りを放っているのです。
喉を癒やし女性を包み込む優しさあふれるSage。
もちろん外敵、ウィルスとも戦ってくれます。

子供にこの匂いを嗅いでみて!とお願いした時。。。。
「臭い!」と言われるか「いい香り」と言われるかで大体そのSageの良し悪しがわかります。

私は、Sageはシングルで使うことが多いです。
感性の高い香りを持つこのherbは他を必要としない、もしくは他に邪魔されたくないと言った感じなのです。
シングルで勝負するからにはそれなりの高い完成度が要求されます。
今年も満足いく仕上がりだったため、早速Sageだけのherb saltを作りました。
本当にうっとりする香りのSaltが仕上がりました。
これを季節のお魚、生鱈にたっぷりとすり込んでムニエルに。
私の作るherb saltはお料理がしやすいように塩分は控え目の10%弱で作ります。
ほとんど、herb powderでherbを馴染ませるためだけに塩を使っている感じです。

乾燥機を使って短時間で完全に乾燥させたherb。
その熱が取れ次第、去年より使い始めた強力な粉砕器にかけ少しの岩塩と一緒にパウダー状にします。
肌理は小麦粉並みのシルキーな感じの仕上がりになります。
Powder状になったSage salt は、鱈表面から奥まで浸透し、塩は生臭みを水分として外に出してくれます。
数時間おいてからグリルすると、なんとも言えない芳醇な香りをふっくらとした身に含んで、甘みが引き出されたムニエルの完成です。
レモンを絞って頂きます。
冬のご馳走です。

他にはSageのtinctureを作ります。
BasilやThyme,Rosemaryなどでもいいのですが、私にとっては喉の健康維持、殺菌、鎮痛にかけてはSageが第1の選択になります。
感染予防で外出後のうがいや、実際に喉から怪しくなってきた時の風邪の症状に対して使います。
インフルの流行る頃には作っておきたいtinctureの1本となります。

saltもtinctureもあまりたくさん作らないことです。
herb powderは珈琲の轢き立てが香り高く美味しいのと同じであまり長く保存しないことです。
そして、tinctureは悪くはなりませんが1年以上経つと物によってはオロが貯まり、透明度が低くなる場合があります。
そう頑張らなくても、半年もしないうちにまた新葉が得られるのですから。。。。。

17歳のOriganum majorana

そう、これは Marjoram です。
もう私が最初に定植した形は留めず、17年も自由にさせているとこんな感じで好きな場所を自ら選んで生息しているのです。
でも香りは、17年経っても健全で全く衰えることはなく、と言うよりもむしろ芳醇さを増しています。

敷地内の遠く離れた別の場所に数年前に保険としてこの子から取った苗を定植してあります。
いつもこの親と離れた子の香りを比べるのですが、子は親にまだまだ追いついていない感じです。
でも子の方も年々香りは芳醇さを含み始めてきています。

私はこの香りが大好きで、冬場は地上部が寒さで痛むため、少しお庭からもらってきて鉢植えにし、デスクに飾っています。
ちょっと詰まったり、疲れた時に手を伸ばして葉を触っただけで、majoramの香りがデスクの上を漂います。
「あぁherb」と独り言を呟き癒されます。

冬は本当に多くのherbたちが地上部から消えます。
でも耐寒温度はかなりどれもが低く死んでしまうわけではありません。
ちょっと暖かいところに置いておくと、青く新芽も吹き、ほっとする冬のひとときです。
これもherbal lifeの楽しみの一つです。
皆様も、お気に入りのherbを手元に置いて愛でてみてはいかがでしょうか?

Marjoram、ここで言えることはただ一つ。
Lavenderに勝る癒やし、弛緩、鎮静の神様です。
この心地よい香りは、多くの香水に使われているトップクラスの香りの一つです。

今年のニンニクの種、来年梅雨前が楽しみ♡

本年もGalic 仕込みました。
今年でニンニク栽培も10年目です。
今年はタネの相場が下がり、昨年よりも安くそして大きな種を手に入れました。
シーズン最後の作業としてGalicを植え付けるのが恒例行事。
Galicを植え付けると私の圃場でのお仕事もしばしお休み期間に入ります。
今年は圃場での管理が順調に進めて来れたため、Galicの植え付けも、前の段階から丁寧に時間をかけて準備にすることができました。
8月のうちに満足いくタネを入手し、選別して11月の寒さも経験させます。
今年は2℃まで体感させました。
一方で土作りは青草を漉き込み、堆肥をたっぷりと入れ、しばらく置いてから種と種の間にあたらたに一掴みの堆肥を入れながら丁寧に植え付けを終えました。
時期的にも私の理想とするベストタイミングで行えました。
これまで一般に言う連作障害も全くなく、毎年定位置に植え付けています。
来年の梅雨入り前に収穫します。

2年目のLavender 秋のこの時期は紅葉と並行して青さを増します。
1m間隔で植え付けている今年のLavenderの苗

来春には1m間隔のLavenderを上段のLavenderのように3m間隔に間引きしながら植え変えます。
間引いた苗、そしてバックヤードにまとめて植えてある苗。
この子達をどこに定植するのか頭の痛いところです。
しかし来年のLavenderシーズンはきっと見事なLavenderの穂が圃場を飾ってくれることと思います。

次回で今年の2023 JHS Herb Times は最終回となります。
1年経つのは早いですね。
皆様の今年1年はどんな感じだったのでしょうか?
では次回もお楽しみに♡

今年は大きく伸びをみせてくれたRosemary
「風邪ひかないようご自愛されてお過ごしください」
2023年12月1日Permalink