2022 JHS Herb Times Vol.6

梅雨
しぐれる中、圃場ではherbの宴が日々行われています。
私たちにとってはジメジメとし、肌寒く、心のどこかで日差しを求めている、そんな季節です。

herb達にとってはこの時期も心地よい季節なのでしょう?
この子達は日本に根を降ろし、ここで生きていくと決めた子達ばかり。
本来、地中海気候の中で自生していたherb。
地中海では冬季に多少の降水量があるとは聞いているけれど。。。。。

日本では6月がherbの最大シーズンとされています。
しかしこの6月は梅雨真っ只中にあり、本来の自生地(原産国)とはなかなかの違いがあるように思われます。

それでも圃場内のherb達はむくれることなく精一杯生きてくれています。
順応、適応、しようと努力し続けてくれているのでしょうね♡

確かにこれまで200種を超えるmedicinal herbを植栽してきたわけですが、残念にも姿を消してしまった2-3割のherb達もいます。
日本の気候の中では自力では生き抜けなかった子達です。
可哀想に、辛い思いをさせてしまいました。

私の圃場ではかなり自由に生きることをherb達にさせています。
どこに根を張りたいのか?
どこに向かって繁殖したいのか?
herb達の意思をできる限り尊重しています。

彼らは寄り添って生きることをかなり強く主張してきます。
そしてどうやら、誰と共生するかもそれぞれに好みがあるように私の目には写っています。

共生する仲間によって見たこともないような勢いをつけたり、お互いにセーブしたり。。。。。
見ていると本当に興味深い生態を学ばせてもらえます。

最初のイメッジは、「圃場のお庭」と私が称しているほんの一コマです。
「圃場のお庭」には、無造作に多くの種類のherb達がひしめき合うように根を降ろしています。
お庭なのですが、私は一般に言うガーデニングは一切施していません。
彼ら自信が決めたガーデンデザインを毎年進化せて楽しませてくれます。
このイメッジのメンバーはFennel,Milk Thistel,Clary Sage,Vetiver
本当に仲良く生きています。
過去に私は専門的なフラワーデザインを学んでいたことがありますが、
その知識や経験、技術を持っても生み出せない美学を彼らは私に突きつけてきます。

この4種の共通点は?
herbの中でもかなりの高さを持つ子ばかり。
少なくとも1.5-2.5mぐらいの高さを維持します。
私には理解できませんが高さという共通点が気持ちよく共生している事に何らかの関わりを持っているのでしょうか?
もうしばらく、観察したいと思います。

イメッジには写りませんでしたが、彼らの足元はまたそれはそれで、多くのハーブが共生しています。
下方1/3あたり、東向きにはWood betonyがお供している状況です。

Wood betonyはある時期から私の中であまり取り上げないherbになってしまいました。
しかしこの圃場を立ち上げた時はどうしても欠かせない、自生して欲しいherbの一つでした。
私の管理能力の至らなさで幾度も絶滅しそうになった子ですが、4−5年前から意識的な救い出しと管理を行い、現在圃場内にWood betonyのエリアが復活し今旬を迎えています。

Wood Betonyには、放っておいてもいつもいてくれる。。。
私の甘えがありました。
圃場を立ち上げた時に根を下ろささせ、5-6年ほど経った時にかなり衰退傾向で生息している事に気付いていたのですが?
本当にこれではいなくなってしまうと私が本気になったのは4-5年前です。

Wood Betonyには面白い和名があり、カッコウチョロギと命名されています。
カッコウとは鳥のカッコウではなく生薬名のカツ香からの由来、そしてチョロギは諸説ありますが、語源は中国や韓国から由来した名が日本の長老木、
もしくは長老喜、千代呂木が当てられてつけられた名と聞いています。
チョロギといえば、お正月の黒豆を煮た時に添えられる赤い物をイメッジしますが、とにかく縁起が良さそうな名であることは確かです。

生薬のカツこうと言えば皆様ご存知のPachouliのことです。
シソ科という事で共通点はあるのですが、効果的には鎮静作用がある点で少々共通しているのかな?という感覚で私は捉えています。

今年は思うように収穫ができました。
Wood Betonyについて過去に学んだ時の自分のテキストの一部を引用すると、注目する点が挙げられます。

【効用】浄化作用
【適用】不安、幻聴、悪夢、眩暈、フラストレーションを起因とする頭痛、
    偏頭痛、脳循環強壮。

この一連をカバーできるherbは他にあまり思いつかないのです。

例えば、めまいに効くherbはありますかと?
貧血が起因であれば多くのherbが思い起こせるのですが、貧血値が正常な場合は?と言った具合です。

まぁ難しい話はこれぐらいにして、幻聴や悪夢とまでは行かなくても、このコロナ禍で、少なくともストレスを溜め込み、スッキリと浄化されたいような気分の時に、Wood Betonyは何か力になってくれそうな、そんな期待感を持たせるherbです。

JHSの圃場では多くのherbが存在し、一年の中でそれら全てと真摯に向き合うことはできません。
その年その年、気持ちを引かれた数種類のherbとだけ、向き合うことで精一杯です。

今年はWood Betonyと久しぶりの対面でした。
まだ11月まで時間があります。
あと、どの子と向き合うことが出来るのでしょうか?
精一杯、対話ができるように精進したいと思っています。

皆様はどんなherbと向き合っていらっしゃるのでしょうか?

そういえば今の旬はLavender.
蒸留作業も忙しくなります…..
何か感じることができればまたレポートしたいと思います。
シーズンラストまで、穏やかな時が流れることを願っています。


 







2022年6月18日Permalink