2023 JHS Herb Times Vol.21

秋の訪れを告げてはくれているのだけど。。。

皆様いかがお過ごしですか?
どなたも秋の訪れを感じていると事と思います。
JHSの様子もすっかり秋めいてきました。
この3本の柿の木は、自然のタープ代わりになって、夏の熱い日差しから私たちを守り、どんな暑い日でも涼しさを与えてくれ、作業の合間に疲れを癒してくれる大事な柿の木です。

しかしこの時期は柿が雨のように、爆弾のように上から落ちてきて、最盛期には地面がオレンジ一色になることもあります。
もちろん、この時期は柿の木の下で休むことは出来ません。

今年は特に柿の実が多く付いていて、毎朝お寺での朝のお勤めのように、こ1時間をかけて穴を掘ったところにかき集め綺麗にしなくてはなりません。
この時期以外は、涼しさや、心地よい木漏れ日の光などを私たちに与えてくれる柿の木ですので、それぐらいのお返しはしないといけないといったところでしょうか?

今年はPachouliも柿の木の根元でお世話になっています。

柿の木の下で養生するPatchouliの苗

Patchouliについて少しお話ししたいと思います。
西洋herbとしてはあまりmajorではないのですが、精油としてはご存知の方が多い事と思います。
これはどんな香り?
日本人だったら、必ず納得のいく表現があります。
それは「墨汁」の香り。
だからと言って、墨汁の原料になるherbではありません。
一般的?ネット上では頻繁にpatchouliは「土地の香り」と言われているようですが、Vetiverの香りを知る私としては、vetiverが「土の香り」、そしてpatchouliは「墨汁の香り」と区別されているのです。

圃場内に生息するpatchouli

ところでこのpatchouli、柿の 木下のpatchouliと圃場で生育するpatchouli の違いがわかりますか?
全く別物のherbの様?
同じpatchouli なのですが、葉の大きさ、緑の濃さ、硬さ、厚みが全く異なります。
柿の 木下のpatchouliは栽培、圃場内に生息するpatchouliは自生の違いがはっきりと現れるのです。
雨や風、日照り、温度の違いで、こんなにも姿形が違ってきます。
圃場内に生息するpatchouliは雨風に打たれ、そして直射日光に晒され、水切れにも耐え抜いた姿なのです。
これが生み出す香りと味は、栽培と言う人工的に人の手を借りて育つものとは別物の力強い生命力に満たさされるものとなります。

Patchouliは地上部を乾燥してherbとして使う方法と、精油として使う方法があります。
herbとしては、漢方の生薬カッコウとしても使われています。
西洋herbとしての効能は、暑気あたり、消化不良、下痢、嘔吐とされています。
精油としての効能は、保湿、収斂、抗菌、鬱血除去、静脈強壮などがあげられます。
herbならば消化器不調に。
精油はスキンケアといったイメージが強いherbです。
JHSでは地上部全草を乾燥、発酵を経て浸出蒸留で蒸留水を得ます。

なんといってもpatchouliは香りが魅力的なのではないでしょうか?
sandalwoodと並ぶオリエンタルな香りが特徴です。
そのため、センターリングや瞑想にも活用でき、心を鎮める、安定させる、自己を見つめるためにも役立つherbです。

伊勢屋酒造さんへ納品するlemongrass

今年は計画的に例年より多くのlemongrassを管理しました。
相模湖町にある伊勢屋酒造さんとのサブスクでのコラボのためです。
これまで、herbとコラボしたいと言うお話は多くの飲食の方々から頂き、受けていたのですが私の中では満足いく結果は得られませんでした。
私は日常的に多くのherbを扱い摂取しているため、遠慮気味に加えられたものではあまりピンとこないような感覚になっています。
誰かガツンとherbを使いこなしてくれるお相手はいないものかと常に思っていたのですが、今回は期待が持てそうです。
20kのlemongrassからどのぐらいの香りが得られるのか?
楽しみにリキュールの仕上がりを待っている次第です♡

今年のlemongrassは甘みがあり、香りも強く、herb teaとしては何煎目も香りが続き少しの量で、何杯も楽しめるテーストに仕上がりました。
欲を言えば、もう少し輪形部が太く育てば申し分のないところだったのですが、
そうならなくても十分なテーストと香りが得られているので、今年は満足のいく歳となりました。
lemongrassとその周りの土に感謝です。
収穫はまだまだ続きます。。。。。

毎回lavenderのご報告をしている様ですが・・・
エッジに定植したlavenderはますます株を大きくして行っています。
今は今年春に定植した2年株と昨年春に定植した3年株とが同時に成長を見せてくれています。

普通は花が咲いている時、花穂がでている時に魅力を感じ、lavender,lavenderと言って大騒ぎになるのですが、私は花の終わった、枝葉だけの時が大好きなのです。
驚くほどに花穂がなくても紛れもないlavenderの香りを漂わせ、シルバーグリーンとも言えるherbらしい色合いを奏でてくれます。
形もglosso特有の円形を見事に保ち、「なんで自然にこんなに丸くなるのか?」と眺めていると吸い込まれそうな魅力に囚われます。

自然と球形を成していくglosso

ところで、この子のお母さんは、ただいま老木として16年生きる17年株のglossoから生まれた株です。
面白いことに、ちゃんとこの子はお母さんの遺伝子を受け継ぎ、強くて、形成力のある子に育ってきています。
今現在、量販店などで出回っているglossoと称する苗を買って定植してもなかなかこの様には育ちません。
今の苗は交配を重ねすぎて、元々もつglossoの遺伝子が薄らいでいるのかもしれません。

少なくとも、16年前のglossoの遺伝子を持つ株は200株を超える状態でJHSの圃場に生息させることができました。
私にとってはなんだか、継承という意味でほんの少しだけ肩の荷を下ろせた様な気持ちになっています。
この見事な遺伝子を持つglossoを絶やしてはいけないと言う気持ちを抱えていたからです。

しっかりと受け継いだ若い継承株をほめて良いのか?それとも16年を迎えても衰えを見せず、潤いと貫禄と熟成美を保つ親株をほめて良いのか?
迷うところです?
まぁ両方を讃えてあげることにしています。

今年の春に定植した2年株
昨年の春に定植した3年株
右下が3年株,
奥中央が17年株

さて最後にvetiverのお話です。
vetiverは先にも述べたように土の香りのするherbです。
vetiverは2〜3歳の株を掘り起こして根をよく洗い乾燥させてから軽く1時間ほど浸出蒸留を行い、一旦冷やして翌日に一気に再度浸出蒸留を行うと言った方法をJHSでは取っていて、主に蒸留水と僅かな精油を得ています。
蒸留の方法はこの限りではなく、他の方法もあります。。。

天高く登り葉先を鶴のように90度に曲げ愛嬌を風に寄せるvetiver

初めに私はこの精油に出会った頃、なんだか埃くさいと言ったイメージが広がっていました。
しかし実際に手元でvetiverを栽培し、株元のextraglassの管理をすることによって、この香りが土の香り、下手をすればお香のような香りというイメージに変わっていきました。
毎年見事に原産国と同じような迫力で咲き誇る3mにも達するような姿を見て、圧巻というか、ひれ伏したくなる感覚に囚われます。
「お見事!♡」という他にありません。

ただ、この地上部はお茶にするでもなく、ただ使用部位は根。だけ。。。。?
この素晴らしい地上部は朽ち果てるのを来春まで待つの?
何だか寂しすぎると。。。毎年思うのです。
それで思い立ったのが、東南アジアではこれを編んで、床に敷き、防虫効果や防かびに活用していると言うローカルなお話です。

これまで、JHSでは四角に作付けし、青空トイレなどに活かしてきましたが、今年は思い切ってこのローカルなお話を再現することにしました。

最初のご利用者は?

・・・に使われているそうだ。。。。。
では実感も理解もわかず、へぇー?で終わってしまいます。
聞くとやるとは大違い的な感覚で、メンバーと楽しみながらvetiverを織ってみました。
なかなかの試行錯誤でしたが、一応気の済むところまでは織ってみました。
vetiverの葉の形、強さ、冷たさ、などを十分に手で感じ、実際を本当の意味で知ることができました。

パーテーションにでもなりそうな?

解った事は?
最大級に成長したvetiverを使えば確実に綺麗な織り幅は1mとれると言うこと。
その長さは縦糸の紐さえ伸ばせば無限大に織ることができるということです。

重ね合わせれば織り幅は広げられますが、シングル使いで織っていくと幅1mが限界と言う事です。
もちろん、多少風合いで端っこが薄くなったり、先端の葉が跳ね出てきてもよければ2m近い幅で織っていくことも可能です。
そしてこのマットは冷たいと言うことです。
夏の暑い日や、熱帯地方で使うには確かに快適かも?
これをハンモックのように木下に張ってゆらゆらとお昼寝ができたら気持ちがいいだろうな?と言う思いでした。

夏の終わりのいい思い出になりました。
お手伝いくださった、しょうま君ありがとう♡

今回はこの辺で。。。。
暑さから解放されて、皆様体調を崩されませんように♡
また次回をお楽しみに。。。

2023年9月28日Permalink